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2018年1月18日木曜日

『ギヴァー』を読む


 火曜日(16日)に紹介した読書会の記録を送ってくれたコニコさんが、また『ギヴァー』の読書会を開くそうです。
  興味のある方は、ぜひ参加してみてください。

いつかやってみたいと思っていたBook Club、はじめます。
はじめまして。共楽Story Club、主催のコニコです。あえてStory Clubとしたのは、本をネタにして映画でも絵画でもいろいろなストーリーを語って欲しいから。読書好きの方も、本が読むのがちょっと苦手という方も、共に人が紡ぐストーリーを、本を通して楽しく語りませんか?

今回、共楽Story Club発足にあたって第1回作品としてぜひ皆さんと共に読みたい本として取り上げたのは・・・
四半世紀前にアメリカで生まれたディストピア寓話『ギヴァー』。いま世界が注目しているディトピア小説であり、SF小説であるこの物語は、舞台を近未来としながら、現代に通じる管理社会をするどく描いています。2014年には映像化され、話題を呼びました(Blu-ray & DVD)

<開催詳細> 
日時: 2018年3月2日(金)19時~2030

場所:東京ウィメンズプラザ 2階 第1会議室A
参加費: 1000円 (当日現金払い)
飲食:飲食の提供はありません。会場内の飲食持ち込み可(館内に飲み物自販機有り)。

<課題本>
ギヴァー 記憶を注ぐ者』著者: ロイス ローリー (),‎ 島津 やよい (翻訳)
出版社: 新評論    定価: 1,620



<参加方法>
①課題本を事前に読んできてください。
②コニコ(koniko.1959@gmail.com宛に連絡ください。

<当日のスケジュール>
18時40分 受付開始
19時    読書会 自己紹介
                      グル―プ討議
                        映像紹介

20時半   終了

2018年1月17日水曜日

『ギヴァー』@読書会を読み終えて


 コニコさんが、このブログを見つけてくださり、以下の読書会の記録を送ってくれましたので、共有します。

皆様の鋭い洞察をじっくり読ませていただいて、本当に今回も読書会をやってよかったと感謝してます。特にGiverがジョナスとともにしたように、皆の一番幸せな記憶をシェアできた回は、心に残るものでした。それぞれのかけがえのない時の記憶は、気持ちを和やかにあたたかくしてくれました。この本の大きなテーマの一つは、Aさんが提起してくれた記憶の問題でしたものね。

私がこの本を読んで感じたのは、次のようなこと。記憶が幸せなものであっても、辛いものであっても、人が人にそれを伝えて分かち合うことで、社会を変えるというヒロイックなことはできないとしても、目の前の人の心を変えることはできるかもしれないと思えることでした。一人ひとりが、Giverであり、 Receiverであって、人間の普遍的な気持ちをつないでいくことの先に未来がある、とも思えました。過去を伝えるGiver、現在に行動するジョナス(彼はすでにGiverでもある)、そして未来に生きていくガブリエル、この3人にいろいろ重ね合わせて考えさせられました。

アメリカ人で「Hiroshima」という広島の原爆のことを書いたジョン・ハーシーもこんな言葉を残しています。

「過去 現在 そして未来は、記憶という絆でつながっている。
ヒバクシャのいなくなる日が来る。しかしヒバクシャの記憶の集積は、人類が生存し続けるための偉大な希望として残されている。」 

もう一つのテーマが、Bさんが言われていたことのも関係する“天気から結婚、仕事、生き死に、そして言葉、色も感情までコントロールされた社会で"守られて"生きていくことが幸せか”ということ。(言葉のことでは、Giverからもらった記憶から、ジョナスが次々とfamily, snowなど言葉を紡いでいく場面は、まさにCさんが言われるヘレン・ケラーを彷彿させました。)そういったコントロールは、ある意味監視社会につながっているわけで、この本を読んでいる時に、スノーデンの事件や、日本での共謀罪法案が問題になったことも、この本のコミュニティを思わせるにおいがして、リアルに現代社会に通じるものがありました。そんな社会で自分自身が考えて選択していくジョナスとGiverを本当に勇気ある人たちだと感じています。DさんもGiverはすごいと言われていたのに共感しました。

エンディングでは、ジョナス、ガブリエル、そしてGiverのその後が、敢えて読み手に委ねられる形で終わっていました。Eさんが、終わり方がジョナスの頭の中で起こった出来事ではないかと感じ、"観念的"と思えたという意見は新鮮でした。

私が胸をつかれたのは、まさにラストシーンで、ジョナスが歌声を聞いて、あゝ、音楽だと認識した時に、「遥か彼方になってしまったコミュニティからも音楽が聞こえたように思ったと、それは、エコーにすぎなかったかもしれないが。」というところでした。ジョナスがGiverのために唯一残した彼の幸せな記憶――音楽、もうお互いに会えなくても、それが遠くで微かでも響き合って、心の交流があった気がしました。

この世界の続きは、あと3冊あります。映画も、私は面白いと思いました。映像だからこその原作とは違うく工夫もしてあって。ジョナス役は、最新作のカリブの海賊の主役の青年です。


長々読んでくれて、ありがとうございました😊